平日の朝起きてから仕事に行き、帰ってきて寝るまで。もしくは、家でのんびり過ごしたり、友達と遊びにいく休日も、ほとんどの人が無意識に行動をルーティン化している。朝起きてすぐにすること、電車の中での時間つぶし、そして寝る前のリラックスタイムなど、思い返してみれば独自の毎日の習慣は必ずあるはず。しかし、その習慣が決して健康に良いとは限らない。今回は、海外の研究機関で発表された、心身の健康のためにやめるべき8つの習慣をご紹介。
1.ラマや映画に熱中して一気に観ること
自宅で過ごすことが推奨されているここ最近の事情の中で、サブスクリプション型の動画配信が大人気。映画館やテレビと違って、気になるシリーズものは続けて観れることも大きい。だからこそ、止めどきがわからなくなるのも難点だ。
ベルギーで、18歳以上25歳以下を対象にしたアンケートによると、複数の動画作品を一気に長時間見た場合、短時間の鑑賞に比べて疲労が激しく、夜眠れなくなる人も多いとのこと。ドラマを連続してみた人たちが睡眠の質を低下させてしまう割合は、普通の人に比べてなんと98%も高いそう。不眠によるリスクはかなり高く、体内の睡眠ー覚醒リズムが崩れることで、日中に過度の眠気が襲うことが多い。それによって判断力や注意力は非常に下がり、飲酒運転と変わらない危険性で事故を起こすことも多く、健康被害だけでなく命の危険すらあり得るという。
では、一体どんな時間の過ごし方が良いだろうか?アメリカのイェール大学によると、おすすめは本を読むこと。読書を趣味とする人たちの12年以内の死亡率は、普段本を読まない人より20%も低い。動画鑑賞はほどほどに、久々に本を手にとって、のんびりと過ごしてみてはどうだろう。
2.ネガティブ思考
笑顔がもたらす効果はとても大きい。気分を上げるだけではなく、健康にも影響し、寿命すら伸ばすという研究結果もある。
アメリカのメイヨー・クリニックという総合病院によると、ポジティブ思考の人とネガティブ思考の人の早死にする確率は大きく違い、その差はなんと50%!普段からポシティブに考え、ストレスにうまく向き合うことで、免疫力が上がるからだと言われている。
同じくアメリカのイリノイ大学でも、同じような研究結果が出ている。楽観的な思考を持つ人々は、傾向として、健康的な食生活をしているとともに、適度な運動も日常的に取り入れていることが多い。よって、総合的な観点で、心身ともに健康で長生きできるのだろう。
3. 都市での生活騒音
華やかで便利な都市での生活は楽しいが、その喧騒と、生活の中で常にある騒音はマイナスポイントでもある。
英国のロンドン大学衛生熱帯医学大学院の研究では、車や電車などの交通機関による騒音は、将来的な健康に強く影響を与えることを明らかにした。車や線路の走行音やクラクション音は、普段は気にしていなくてもいつの間にかストレスになり、血圧を上げるマイナス効果がある。長い間常にそんな環境に身を置いておくことにより、寿命にも影響するのだ。
逆に、自然と共存する環境に住んでいる場合、健康へのプラス効果が見られる。精神的な安定を得られると同時に、環境汚染による人体への被害も少なくて済む。米国立衛生研究所による看護師健康調査では、緑に囲まれた地域に住む女性の死亡率が、都市部の女性より12%低いという結果が出ている。
4. 往復で一時間以上の通勤時間
日本の都市部では当たり前のように長い通勤時間。意外にも、ストレスなだけではなく、短命の原因にもなってしまうと言う。
往復一時間以上の通勤・通学時間を毎日行っている人の、健康への影響は大きいという研究結果を出したアメリカのブラウン大学。精神的な負担は勿論のこと、長時間動かず同じ姿勢で電車や自転車に乗りつづけることは、体への負担も計り知れない。
通勤・通学にそれだけの時間を取られてしまうと、1日の自由時間も激減し、ストレスや運動不足にもつながってしまう。合間の時間を有効に使って、少しでもエクササイズをするのがオススメ。それに、もし次に引っ越す予定があるのなら、通勤時間を考慮してみてはどうだろう。
5. 早期退職
意外なのが、早期退職した場合、寿命へ少なからず悪影響を与えるということ。イギリスの医学誌、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルのある論文によると、65歳以下の死亡率では、60歳以降も継続して働いた人たちに比べて、55歳までに退職した人の死亡率は驚くことに2倍だという。
この論文では理由にまでは触れていないが、社会との関わりが精神的に安定を与え、幸福感そして健康へとつながっていると見られる。仕事を続けることで、脳が衰えずに働き続けることもメリットかもしれない。
6. 孤独感
子供がいることで様々な問題やストレスに見舞われることもあるが、少なくとも長生きをする手助けにはなるそうだ。
イギリスの疫学誌のある論文で述べられた60歳の平均余命は、子供を持つ人の場合、子供が居ない人と比較すると多少長くなるとされている。その違いは、女性だと1.5年、男性だとさらに長く、約2年ほど。
その理由は、子育てによって社会と深いつながりを持つことができる他に、子供たちが訪ねたり面倒を見てくれることによって、孤独な老後生活にならないことも大きいとされている。独身生活、夫婦だけの生活もメリットは多く、楽な面もあるが、子供を育てる大変さを乗り越えて得る幸せもまた違った良さがある。
7. 睡眠不足と睡眠過多
睡眠は健康を保つ上で最も大事なことの一つ。寝不足でも寝すぎでも、体に悪影響を与えてしまう。
忙しい現代社会の中で、夜更かしや徹夜は割と日常茶飯事かもしれないが、寝不足が続くことで命の危険すらあり得るのだ。英国のある研究では、睡眠時間6時間を頻繁に切ってしまうと、早死にする確率が12%もアップすると発表している。
では、寝られるだけ寝れば良いのかというと、そうでもない。他の調査では、9時間以上の長い睡眠を毎日続けた場合でも、平均寿命は短くなると発表している。人間の体に適度な睡眠時間は約7時間から9時間と言われており、きちんと質の良い睡眠をその時間内で取ることがオススメ。
8. 不健康な食生活
食生活が原因で死亡したと思われるケースを調査したアメリカの研究結果によると、塩分を摂り過ぎたことが原因のケースが最も多く、9.5%だった。次が加工肉の過剰摂取で8.2%。魚介類に多いオメガ3脂肪酸の摂取量の不足が3番目で、7.8%となる。基本的に、健康的な食生活は、魚と野菜を多めに摂取し、肉を少なめというのが理想的だと言える。
塩分を控えめにしつつ満足のいく味にしたい場合は、唐辛子を代わりに入れるのがコツ。刺激のある辛い料理は時間をかけて食べることは多く、脳が早めに満腹感を感じ取り、食べ過ぎを防止できるとのこと。アメリカのバーモント大学ロバートラーナー医科校の調査でも、唐辛子を摂取することで死亡率が下降傾向に見られると発表されている。